母の意見
「あなたは世間知らずだから。不動産屋さんにしたら、古いほうから売りたがるのよ。売れ残ったら困るでしょ。」八百屋か魚屋みたいなことを言う。後で人に聞いたら、母も世間知らずで、不動産屋と言うのは高い方から売りたがるそうだ(ほんとうか?)。母に依れば、父も割と騙されやすいというか、見た目でころっとなるタイプだとかで、何十年も前に鎌倉の家を購入した時のエピソードまで持ち出し、「私が家事をする立場から、厳しくチェックします」断固とした口調で言った。当日は田中氏の運転する車に三人で乗って行った。その日も晴れで、マンションの前で降りると、生垣に陽だまりが出来、いかにも気持がいい。子供が二人遊んでいて、私たちを見ると「こんにちは」と挨拶をした。売主は大入さんと言う人で、50前後と思しき夫人が出迎えた。「おやすみのところ大勢で押し掛けまして」「いえいえ、さあ、どうぞお上がり下さいませ」知り合いの家を訪ねて来たような雰囲気である。リビングの庭に面した窓からは、明るい日が差し入って、フローリングの床に降り注いでいた。窓の外は光あふれるポーチ。庭が思いのほか広々している。中央は芝生、周りは生垣で、ヒヨドリらしい鳥が枝の間を行きかう。お隣とは庭続きで、白いフェンスで仕切ってある。
理想的な空間
「あらー、素敵ね。キレイにお住まいですね」母の顔は緩みっぱなしで「厳しくチェック」と言い切った人は、どこへ行ったのと言う感じであった。玄関を入った一方がリビング、もう一方に二つの部屋がある。風呂、洗面所、トイレ、キッチンと一通り案内してもらって、リビングに戻る。天井が高いのと、壁が白いせいか、59平米という面積の割に広く感じる。数年前リフォームをしたそうだ。そのためか、新築のようだ。「なんか、ほんと、モデルルームのようですね」大入さんにそう言った。買うのは家なんだ、中の物は付いていないんだ。と頭ではわかっていてもあまりに美しく整えられているために、ついつい鑑賞してしまう。白いポールから下がる青いカーテン、青系のソファ。カップボードには、さまざまな色と模様のティーカップが並び、客をお茶になぞ招いて、このカップでもてなすこともあるのかもしれない。銀のフレームには、家族の写真が飾ってあり、暖かな暮らしの雰囲気に満ちている。それらは、むろん売主さんが引っ越すとともになくなるものだが、これだけ愛情を懸けてすんで来たなら、築年数の割に、傷みは少ないと思われないか。

騙されたといった時にはもう遅い!こんなこと誰に言えばいいとなると思いますが例えば出会い系での詐欺についても、頼りになる法律事務所があります!

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